まるで鍾乳洞の中のようなひんやりした響きと、クリスタルのような透明感を併せ持つヴォーチェス8の歌声は、驚嘆に値するものだ。その名の通り8人の歌手から成るこのイギリスのアカペラグループは2000年代の初頭に結成されて以来、一つのアルバムの中でルネサンスのポリフォニーから現代のポップミュージックまで網羅するなど、実に幅広い時代やジャンルの楽曲を手掛けてきた。例えば2015年のアルバム『Lux』では、タリスやアレグリからオラ・イェイロ、さらにはマッシヴ・アタックのナンバーまでをも神々しいまでのアカペラで歌い上げている。このプレイリストでも、そんなヴォーチェス8による魅惑的なパフォーマンスで非常に多彩な楽曲を楽しむことができる。また2021年にはロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との共演で、アメリカの作曲家Christopher Tinが絶滅の危機にひんする鳥類への思いを込めて書いた新作をレコーディングし、2022年にリリースした。