豊潤で輝きに満ちた音色、揺るぎない技術、そして、あらゆる時代のレパートリーを説得力を持って演奏できるシャロン・ベザリーは、フルート界の偉大な演奏家の一人だ。 このプレイリストは、モダンフルートが隆盛した19世紀後半から20世紀前半のパリからスタートする。当時、金属製の管体と複雑な機構によって近代化されたばかりだったこの楽器は、リサイタルホールやサロン、音楽学校で人気となり、フォーレやタファネル、シャミナード、ゴーベール、プーランクといった作曲家たちがフルートの新たなレンジやトーンを生かした曲を生み出した。ベザリーはこれらの作曲家たちの楽曲を、この上なく優雅に、スタイリッシュに、かつフランス的な奔放さをもって奏でている。 またベザリーは、彼女のトレードマークとも言うべき流麗さを、18世紀のレパートリーにももたらしている。その麗しい響きは、モーツァルトによるエバーグリーンな名曲『フルートとハープのための協奏曲 ハ長調』で堪能できる。また、同じくモーツァルトによる快活な作品『フルート協奏曲第1番 ト長調』でのベザリーは、並外れたテクニック、美しい音色、音楽的なユーモアを存分に発揮している。そして、プレイリストの最後に置かれたニコラ・バクリによる暗うつな協奏曲の演奏では、彼女が持つ卓越したブレスコントロールの技術と魔法のように整った音色の一貫性に驚かされる。