しばしば通常の発音方法とは異なる特殊奏法を用いて奏でられるさまざまな楽器、歌声や叫び声、さらにはオルゴール、レコードプレーヤーのスクラッチノイズなどによって構築される彼女の音世界は、まさに独創的な“音の彫刻”だ。作曲家Rebecca Saunders は1967年にイギリスで生まれ、現代音楽界をリードするドイツの作曲家、ヴォルフガング・リームの下で学んだ。Saundersの楽曲の中に親しみやすいメロディは見当たらない。それどころか一聴しただけではただ無秩序にいろいろな音が発せられているように思えるかもしれない。しかし、実際には彼女の作品は驚くほど緻密に構成されている。2台のピアノのための「Choler」では激しい打弦と静寂のコントラストが息をのむような緊迫感を醸し出し、聴き手を強く引き付ける。また、アコーディオン、ピアノ、合唱、そしてオーケストラのための作品「Miniata」は、Saundersの崇高な音楽性と構築力が存分に発揮された不穏かつ魅惑的な楽曲であり、現代音楽になじみがないリスナーの心をも奪う美しい響きを放っている。