パリを拠点にヨーロッパ各地で人気を博したオペラ界のスター歌手は、非常に優れた作曲家でもあった。ポーリーヌ・ヴィアルドは1821年にオペラ歌手の両親のもとに生まれる。姉もスター歌手として活躍したが、彼女が若くして亡くなると、ヴィアルドはその跡を継ぐようにして歌手の活動を始めた。ヴィアルドの並外れた表現力は、ベルリオーズ、サン=サーンス、ブラームスをはじめとする同時代の偉大な作曲家たちに大きなインスピレーションを与える。また、ショパンやシューマン、チャイコフスキー、文豪ツルゲーネフとも親交を持った彼女は、まさに芸術界のアイコンだった。一方、リストに師事してピアノを学んだヴィアルドは作曲家としての才能も開花させ、オペラ、歌曲、合唱曲、器楽曲などのジャンルに作品を遺した。典型的なロマン派のスタイルで書かれた彼女の楽曲は、メロディメイカーとしての天賦の才能を感じさせるものであり、和声の美しさはその作曲技術の高さを存分に物語っている。