超絶技巧のピアニストという呼び名を欲しいままにしてきた。しかしそれだけで世界のリスナーを魅了することはできない。その驚異的な技術に裏打ちされた、多彩な音色、絶妙なタッチ、優美なフレージング、幅広い表現スタイルこそが、楽曲の知られざる魅力に光を当て、聴き手に新鮮な感動を与えるのだ。アルカディ・ヴォロドスは1972年、サンクトペテルブルクで声楽家の両親の下に生まれた。幼い頃から指揮と歌を学び、ピアノに全力を傾けるようになったのは15歳になってからだった。そして、モスクワやパリ、マドリードでの研さんを経て本格的なキャリアをスタートさせた後は、世界各地の一流の会場でリサイタルを行い、また著名なオーケストラとの共演も重ねている。このプレイリストでは、シューベルトやリストの作品を中心に、めくるめくような「Carmen Variations」(ビゼーの主題によるホロヴィッツの変奏曲)、ブラームスやモンポウの繊細な小品集、ベルリン・フィルとの共演によるラフマニノフのコンチェルトなどで、ヴォロドスの多様で華麗なピアニズムを満喫することができる。