はじめての ウィリアム・グラント・スティル

20世紀アメリカの作曲家スティル (William Grant Still) は、オーケストラ作品からバレエ音楽、オペラ、宗教音楽、室内楽、独奏曲まで、幅広いジャンルに多くの作品を残した。ニューヨーク・シティ・オペラで初演された彼のオペラ『Troubled Island』は、主要なオペラカンパニーによって初演された初めてのアメリカ人の作曲家によるオペラ作品だった。このことからも分かる通り、スティルはクラシック音楽の世界でアフリカ系アメリカ人アーティストの地位を著しく向上させた点でも高く評価されている。また彼は1920年代から1930年代にかけて巻き起こったアフロアメリカンによる文化運動、ハーレムルネサンスの中心人物でもあった。スピリチュアルやブルース、ジャズといったルーツミュージックの香り高いスティルの音楽はアメリカーナの美しい実りであり、世界中で広く愛されている。