Brett YangとEddy ChenによるTwoSet Violinは、他に類を見ないコメディ音楽デュオだ。チャーミングなキャラクター、絶妙なユーモア、そして、生来の音楽的才能を兼ね備えた二人は、リハーサルのポイント、オーディエンスにまつわるエピソード、音楽のトレンドなど、クラシック界のさまざまな側面について、時に優しく、時に鋭くやゆし、またその面白さを伝えるビデオを発表して人気を博している。
しかし、それらの笑いの背景にはYangとChenが持つ音楽に対する大きな情熱があり、このプレイリスト『Bach in Style』にはそれがはっきりと表れている。「厳選されたバッハの名曲と共に、時代やジャンルを超えてこの大作曲家の非凡な才能を再発見する音楽の冒険旅行へとご案内します」とTwoSet ViolinはApple Music Classicalに語る。
『Bach in Style』は耳を傾ける価値のある名演奏にあふれている。YangとChenのヒーローである名ヴァイオリニスト、ユーディ・メニューインが1934年に録音した「Chaconne」(『無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調』より)のパワフルな演奏は、その後何十年にもわたって他のヴァイオリニストたちに多大な影響を与え続けた。同じくバッハを得意とした伝説的ピアニスト、グレン・グールドが奏でる『ゴルトベルク変奏曲』の「Aria」(1981年に行われたグールド2度目の録音より)も魅惑的だ。ヨーヨー・マの演奏も楽しめる。現代屈指のチェリストであり、『無伴奏チェロ組曲』の優れた解釈者としても知られる彼は、この作品を収録した1983年リリースのアルバムでクラシック界の真の巨匠としての評価を確固たるものにした。さらにレアな音源との出会いもある。オットー・クレンペラーが1957年に録音した『管弦楽組曲第2番』の「Badinerie」は驚くほど軽快で、ヘルベルト・フォン・カラヤンによる『管弦楽組曲第3番』の「Air」は、切なくも美しい映画のワンシーンを思わせるような輝きを放っている。
このような伝統的なスタイルの演奏に敬意を払う一方で、『Bach in Style』には革新性の高いパフォーマンスも収録されている。TwoSet Violinが言う通り、ここでは“バロックとモダンなセンスの融合”が実現されているのだ。ヒラリー・ハーン、サルヴァトーレ・アッカルド、五嶋みどり、オーガスティン・ハーデリッヒ、レオニダス・カヴァコスといったヴァイオリニストたちの衝撃的な演奏は、バッハの無伴奏ヴァイオリンのための作品に対する解釈に、まだまだ多くの可能性が残されていることを示している。