「このプレイリストは、穏やかなひとときを求めている人たちのためのものです」。日本人の母とドイツ人の父を持ち、ワールドワイドに活躍するピアニスト、アリス=紗良・オットはApple Music Classicalにそう語る。「これらの音楽は、私をノイズや不快な音が無い安全な場所へと連れて行ってくれます。あなたが今どこにいたとしても、心の充電に役立ってくれることを願っています」
彼女にとってアルヴォ・ペルトの「アリーナのために(Für Alina)」は、そんな時に最適な心の栄養剤だ。「この曲から、一音一音が持つインパクトだけではなく、余韻や色彩、音と音の間にある緊張感までをも感じ取ることができます。私たちを音楽に集中させ、聴き手に寄り添いながらも張り詰めた時間を与える曲なのです」
このプレイリストの中でオットは、彼女のインスピレーションとなり、豊かな関係を築いている友人たちの音楽も取り上げている。サンディ・デニーの名曲「Who Knows Where the Time Goes」は、オットが「パンデミックの時のかけがえのない音楽仲間」と語る同世代の歌手Julia Bullockと、ピアニストで指揮者のChristian Reifによるバージョン。そして、プレイリストの冒頭を飾るショパンの「ノクターン No.11」は、2015年にオットがアイスランドのミュージシャン、 オーラヴル・アルナルズとコラボレートしたアルバム『ショパン・プロジェクト』からのトラックだ。「オーラヴルと私は、レコーディングセッション中のある日、レイキャビクでバー巡りをして、演奏できて録音に使える古いバーのピアノを探したのです」とオットは説明する。「調律が少しずれているものをいくつか見つけました。それこそが、私たちが求めていた不完全さでありノスタルジックな響きだったのです」