ソン・ヨルムはこのプレイリストで、20世紀の偉大なピアニストたちによる録音を紹介している。ヨルムは、2011年にチャイコフスキー国際コンクールで第2位となって大きな注目を集めた韓国出身のピアニスト。そのレパートリーは幅広く、バロックからロマン派に至るクラシック音楽のみならず、ジャズや、母国の伝統音楽である国楽(クガク)までをも手掛ける。そんな彼女だが、ここではモーツァルトやベートーヴェンから、ショパン、リスト、ラフマニノフ、ラヴェルまで、実にオーセンティックなクラシック作品を選曲している。そして演奏は前述の通り、20世紀の初頭から後半にかけて世界的な名声を博した名ピアニストたちによるものばかりだ。録音が古く、ノイズが入っている音源もあるが、それでも卓越した演奏家たちがパフォーマンスに込めた技術と情熱はひしひしと伝わってくる。このプレイリストからは、ソン・ヨルムがこれらの先達たちによって紡ぎ上げられた演奏史に対して抱く、深い敬意が感じられる。