20世紀アメリカの作曲家サミュエル・バーバーは、前衛的な作風がもてはやされた時代にあって、後期ロマン主義的な楽曲を生み出した。それによって保守的であるという批判も受けたが、彼が間違っていなかったことは歴史が証明している。『String Quartet No. 1』の第2楽章を自ら弦楽合奏用に編曲した作品「Adagio for Strings」や『Violin Concerto』は、今やコンサートやレコーディングの重要なレパートリーとして高い人気を誇っている。この名曲「Adagio」と『Essay for Orchestra, Op. 12』をNBC交響楽団と共に初演し、バーバーの名を世に知らしめたのは、あのアルトゥーロ・トスカニーニだった。また優れたバリトン歌手でもあったバーバーは、繊細で美しい歌曲も遺しており、中でも「ノックスヴィル: 1915年の夏」は最も洗練されたものの一つといえる。