ベルガマスク組曲

L.  75、CD 82

ドビュッシーによるソロピアノのための示唆に富んだ作品『ベルガマスク組曲』は非常に人気が高く、少なくとも第3曲「Clair de lune(月の光)」を知らない人はほとんどいないだろう。ドリーミーなこの曲は、2001年の大ヒット映画『オーシャンズ11』の大団円、2020年のオリンピックの閉会式、さらには一流トイレットペーパーメーカーの75周年記念広告まで、近年でも世界中のさまざまな映像作品やステージを彩っている。この曲の有名な滝のようなメロディは両手が分担し、波打つようなセクションは鍵盤の右端の方で奏でられる。「月の光」は、1869年にポール・ヴェルレーヌが発表した同名の詩(同じフランスの作曲家フォーレは、1887年にこの詩による歌曲を書いている)にちなんで作曲された。ヴェルレーヌはこの詩の中で、コメディア・デラルテ(イタリア発祥の仮面即興劇)や近世演劇に登場する「ベルガマスク(ベルガモ舞曲)」に触れており、これが組曲のタイトルになった。1890年に作曲されて1905年に改訂されたこの作品の他の三つの楽章には、バロック的な標題が付けられている。ゆったりとしたテンポの「Prélude(前奏曲)」は、時折霧のように消えていくつかみどころのないメロディに翻弄(ほんろう)されているかのようだ。続く「Menuet(メヌエット)」は、ピアニストに対して、のびやかなフレーズをスムーズにかつ明確な音像で奏でることを要求しながら、小走りで進んでいく。第4曲の「Passepied(パスピエ)」は格式のある雰囲気を持っており、左手の伴奏は軽快でいながらどこか超然としたたたずまいを見せるが、やがてソフトになり、高音で奏でられるメロディに寄り添っていく。

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