歌劇『リナルド』

HWV7

『Rinaldo(リナルド)』は、ヘンデルによるオペラの中でロンドンにおいて初演された最初の作品であり、同時にロンドンの劇場のために書き下ろされた初めてのイタリア語によるオペラでもあった。1711年の2月に行われた初演は、豪華なキャスト、ぜいたくな演出、並外れて美しい旋律にあふれた音楽、そして多彩な楽器編成により、大きな成功を収めた。物語は、16世紀イタリアの詩人、トルクァート・タッソによる叙事詩『エルサレム解放』(1581年)に基づいた第1回十字軍にまつわるフィクションであり、他の宗教に対するキリスト教の優位性をうたったものだ。クリスチャンで十字軍の騎士であるリナルドは、4本のトランペットが鳴り響く「Or la Tromba」において、邪悪なアルミーダと戦うヒロイックな姿を見せる一方、感動的なアリア「Caro Sposa」では愛するアルミレーナを失って悲嘆にくれる弱さをもあらわにする。アルミレーナは、このオペラの中でもとりわけ印象的で有名な旋律を持つアリア「Lascia ch’io pianga(私を泣かせてください)」を歌い、また愛らしい雰囲気のショーピースである「Augelletti」では、鳥たちのさえずりを表現するソプラニーノリコーダーに歌声を加えていく。しかし、力強さにおいては魔女であるアルミーダが勝っており、激しい怒りに満ちた「Furie terribili」や、リナルドの誘惑に失敗したことによる心の葛藤を歌う「Ah! Crudel」で、圧倒的な存在感を発揮している。

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