無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調

BWV 1001

六つのセットから成るヨハン・ゼバスティアン・バッハによる『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』(BWV. 1001~1006)は、ホ長調のパルティータによって明るく華やかに締めくくられるのだが、ト短調の『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番』は、まったく別の趣を持っている。ソウルフルな「アダージョ」の、重音を大胆に使った豊かな表現によって醸し出す内省的な雰囲気は、続く「フーガ」の明確な意志によって取り払われる。ここでは、1挺のヴァイオリンで対位法のような複数の声部が奏でられており、それはまるで、4本の弦と1本の弓という構造の限界を超えるための挑戦のようでもある。変ロ長調の「シチリアーナ」では、前出の楽章の複雑さを引き継ぎながらも、子守歌のようなリズムとともに安らぎを届けてくれる。しかし、その穏やかさは長くは続かない。最後の「プレスト」では、猛烈な音の竜巻がト短調のドラマを再び燃え上がらせるのだ。 ヨハン・ゼバスティアン・バッハの『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』について バッハが同時代の鍵盤楽器奏者の中で傑出した存在であったことに疑問を挟む余地はないが、一方でバッハは、キャリアの初期において、ヴァイオリニストとしても活動していたのだ。ケーテン時代には弦楽器セクションから指揮することを好み、ヴェストホフやピゼンデルといったヴァイオリンの名手たちとの親交の中で、ヴァイオリンという楽器への理解を深めた。その理解の深さは、1720年の自筆譜に収められた『Sei Solo(6つの独奏曲)』、すなわち『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』から容易に推測することができる。ドイツにおけるヴァイオリン音楽の歴史の頂点に君臨するこの作品は、舞曲がリードするフランス組曲の形式に乗っとった三つの『パルティータ』と、イタリアの教会ソナタの路線に沿った緩、急、緩、急の4楽章から成る三つの『ソナタ』で構成されている。

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