ボレロ
M. 81
モーリス・ラヴェルの音楽の中で、最もポピュラーな曲の一つである「ボレロ」をミニマリズムの先駆けと捉えるのは、こじつけが過ぎるだろうか。しかし、東洋風の色彩を帯び、終始一定のリズムに乗せて奏でられるこの曲は、1960年代のカリフォルニアでスティーヴ・ライヒとテリー・ライリーが行ったテープループを使った実験音楽が有する、催眠術のような性質を予感させるものを確かに持っている。テープループといえば、これらの音楽は機械的なものへの愛情という面でも、共通しているかもしれない。1928年にパリ・オペラ座で行われたバレエ作品としての初演に際して、ラヴェルは、スペイン風のダンスの後ろに、工場を描いた背景幕をかけることを望んでいたという。同時にこの曲は、ラヴェルが持っていたオーケストラへの深い愛にもあふれており、テーマを繰り返すたびに、オーケストラの演奏が音量と激しさを増していく。ブロニスラヴァ・ニジンスカが振り付けを手掛け、イダ・ルビンシュタインのバレエ団が踊ったこのバレエは当初から大成功を収め、初演の翌年にトスカニーニの指揮によって演奏会用の楽曲として初演された時には、作曲家と指揮者がテンポの解釈でもめたことが話題になったことも手伝って、さらに人気を高めた。その後は、現在に至るまで、ラヴェルの代表的な管弦楽曲として、世界中で広く愛され続けている。
