交響曲第2番 ホ短調
セルゲイ・ラフマニノフの『交響曲第2番』は、情熱的なメロディと豊かなオーケストラのテクスチャーにあふれた究極的なロマン派の交響曲だ。ラフマニノフはかつて『交響曲第1番』(1897年初演)を批評家たちに酷評され、ひどいうつ状態に陥った。しかし、長い療養生活を経て、彼は再び大規模なオーケストラ作品に取り組む。そして、1906年から1907年にかけて作曲した『交響曲第2番』は、ラフマニノフの復調を印象付けるにとどまらず、彼にとって最も成功した作品の一つとなったのだ。この交響曲には、ベルリオーズの『幻想交響曲』にも登場する単旋律聖歌「怒りの日」に由来するメロディが多く盛り込まれている。第1楽章は弦の低い音によって奏でられる、ゆったりとした聖歌のようなテーマで幕を開け、ドラマチックで激しい主部へと向かっていく。速いスケルツォである第2楽章の冒頭では、ホルンが活力にあふれたリズミカルな動機へとトランスフォームされた「怒りの日」の旋律を奏で、その後テンポが落ちると、弦楽器によるリリカルでみずみずしいメロディが現われる。この交響曲の中でとりわけ広く知られている第3楽章は、弦楽による甘やかな旋律でスタートし、続いて穏やかで表情豊かなクラリネットのソロが、大切な思い出を懐かしむような雰囲気を醸し出す。終楽章の冒頭ではオーケストラのエネルギーとパッションが一気に噴出。ここでは舞曲のリズムが支配的となっているが、これ以前の楽章にあるような内省的な雰囲気も含みながら、音楽はさっそうとしたクライマックスへと向かっていく。この交響曲は演奏に1時間以上を要する長大なものであるが故、指揮者の中には楽譜の一部をカットする者もおり、かつての録音では短縮版が使われることも多かったが、現代では完全版でレコーディングされるのが一般的となっている。
