ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調
K. 216、KV 216
モーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第3番』は、18世紀の後半に作曲された器楽曲の中で、最も高い独創性が発揮された作品の一つといえるだろう。1775年の9月にこのコンチェルトを作曲した時、モーツァルトはまだ19歳だったのだが、バランスの良さ、修辞の巧みさ、ニュアンスのある表現、そして崇高なリリシズムといった点において、すでに驚くほど成熟していた。瞬時にして忘れがたいメロディを描き出し、さらにその旋律の本質を曖昧にすることなくさまざまに展開させていくソナタ形式の第1楽章からは、モーツァルトの並外れた能力を垣間見ることができる。第2楽章の「アダージョ」は、“ダカーポアリア”と呼ばれるA-B-Aのシンプルな三部形式を採っている。この楽章において、オーボエの代わりにフルートが加わったオーケストラをバックにヴァイオリンが優美なメロディを奏でるさまは、まるで完璧に平和な世界を描写しているかのようだ。そして、ト長調の主題に続いてそれとは対照的なト短調の旋律が現われ、さらにはモーツァルトがストラスブールの民謡と認識していたメロディも挿入される終楽章は、ウィットに富んだ楽曲となっている。
