ピアノ・ソナタ第11番 イ長調
K. 331、KV331、K. 300i、KV300i、“トルコ行進曲”
モーツァルトによるピアノ・ソナタのうちの4作、『K.330』から『K.333』は、いずれも1780年代の初頭に作曲されたもので、おそらくウィーンの貴族の娘たちのための教材として書かれたものと考えられている。とはいえ、きっと彼自身も、この街のおしゃれなサロンで演奏していたことだろう。その2作目である『ピアノ・ソナタ第11番』は、終楽章が非常に有名な「トルコ行進曲」であることから、“トルコ行進曲付き”というニックネームで呼ばれるのが一般的だ。「第1楽章」は、イ長調の「アンダンテ・グラツィオーソ」であり、シチリアーノ風の8分の6拍子による主題に続いて、二つの繰り返し部分を含む六つの変奏が展開される。「第2楽章」は「メヌエット-トリオ」で、同じくイ長調だが、中間部では和声的な冒険が見られる。「第3楽章」のロンド・フィナーレは、「トルコ行進曲」。18世紀後半に流行したトルコ風のアレグレットだ。特徴的なリズムを担う左手によるアルペジオは、シンバルをはじめとする打楽器の連打をピアノで表現したものである。
