ジョン・エリオット・ガーディナーが1985年にスタジオレコーディングしたバッハの『Mass in B Minor,BWV 232』は、現在でもこの楽曲の最も優れた音源の一つと見なされている。しかしこの名指揮者は2006年に、この時の演奏が全体像を捉えきれていなかったこと、そして、このバッハの最後の合唱曲を再録音すべき時が来たことを示唆した。そこからさらに時は流れ、十分な準備を重ねたガーディナーがこの作品を再び録音したのは2015年のことだった。場所はロンドンのLSO St Luke’s。壮大な物語の始まりを高らかに宣言するかのようなオープニングから堂々たるフィニッシュまで、モンテヴェルディ合唱団とイングリッシュ・バロック・ソロイスツは完璧なまでの調和を見せ、バッハの天上のポリフォニーに一層の輝きを与えている。