マルティン・シュタットフェルトは、2004年のデビュー作で「ゴルトベルク変奏曲」をレコーディングし、その後は21世紀を代表するバッハ弾きとして高い評価を受けてきたドイツのピアニスト/作曲家。本作は彼が敬愛してやまないバッハに捧げるオマージュ。アルバムのプロローグとしての役割を果たすべく冒頭に収録されたのは、あまりにも有名な無伴奏バイオリンのためのシャコンヌをシュタットフェルトがソロピアノのために編曲したもの。続いて登場するのが、シュタットフェルト自身の手による新作「Homage to Bach」。この12の楽章からなるソロピアノのための作品は、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」のように楽章ごとに音階を半音ずつ上げながら、ハ調からロ調まですべてのキーが演奏されるような構成となっている。ただし楽曲そのものはバッハの模倣ではなく、時折意外なほどのモダンな魅力が垣間見られるオリジナルなもの。それでいて、バッハのスピリットがしっかりと息づいていることが随所に感じられる。