軽やかに奏でられるシューマンの"Des Abends(幻想小曲集 Op.12-1 夕べに)"で幕を開ける本作は、ブダペスト出身のピアニスト、デーネシュ・ヴァールヨンが、ドイツ、フランス、ハンガリーの3人の偉大な作曲家たちの作品でつづる夜の叙事詩。シューマンの「Phantasiestucke(幻想小曲集 Op.12)」は、愛するフィアンセに会うことすら許されない苦悩を美しく詩的な音楽へと昇華させた作品。ラヴェルの「Gaspard de la nuit(夜のガスパール)」は、これまでに書かれたピアノ曲の中で演奏の難易度が最も高いものの一つともいわれる。異界の生き物の不気味な姿を描いたこの作品は、暗く陰気な気配を漂わせている。そしてバルトークの「Im Freien」のハイライトである"Klänge der Nacht"で描写されるのは眠気を誘う蛙や鳥、蝉たちの鳴き声だ。ヴァールヨンはこれらの名曲と共に夜が持つ独特のオーラを見事に表現している。