12 Ensembleは英国の気鋭の弦楽オーケストラ。指揮者なしで演奏するスタイルを取っているのが特徴の一つ。彼らのデビューアルバムである本作は、ルトスワフスキがバルトークへのレクイエムとして1958年に書き上げた「Musique funebre(「葬送音楽」)」でスタートする。12音技法を用いた作品で、無骨な弦の響きがやり場のない悲しみを訴えかけてくる弦楽の名曲だ。このルトスワフスキの代表曲にインスピレーションを受けたのが、米国のオルタナティブロックバンドThe Nationalのブライス・デスナーによる書き下ろし曲「Reponse Lutoslawski」。「Musique funebre」と比べるとやや穏やかではあるが、同じように深い悲しみを漂わせている。本作には他にも、英国の作曲家Kate Whitleyによる弦楽の鮮烈な響きが印象的な作品"Autumn Songs"や、同じく英国のJohn Woolrichのヴィオラ独奏と弦楽オーケストラのための作品"Ulysses Awakes"も収録されている。弦楽オーケストラの新たな可能性を提示する快作。
作曲者
アンサンブル
アーティスト