フランス印象派の代表的作曲家クロード・ドビュッシーの没後100年を記念して、彼の後期の作品をレコーディングしたこのアルバムは、限りなく完璧に近い出来栄えといえるものだ。一つ一つのフレーズ、ダイナミズム、テンポなどのすべてが、まるで科学捜査のような綿密さで調べ尽くされており、演奏はこれらの楽曲の神髄を脈々と受け継ぐ俊英ミュージシャンたちによって行われている。バイオリニストのイザベル・ファウストとピアニストのアレクサンドル・メルニコフは、魅惑的な光を放つ『Violin Sonata in G Minor』が持つ繊細な色彩のすべてを描き出し、ハーピストのグザヴィエ・ドゥ・メストレ、フルーティストのMagali Mosnier、そしてヴィオリストのアントワーヌ・タムスティは、見事に調和しながら、ドビュッシーのハーモニーとメロディが内包する機微のすべてを表現している。またソナタとソナタの間に配置されたソロピアノのための小品も心に染みる。そのうちの一曲であり、アルバムのラストを飾る「Les Soirs illuminés par l'ardeur du charbon」は、第1次世界大戦の終盤、物資不足にあえいでいたパリで、ドビュッシーに暖房のための燃料を融通してくれた石炭商へのお礼として書かれたもので、2001年に楽譜が発見されるまで存在が知られていなかった珍品だ。