ゲオルク・ショルティによる2度目の『第九』の録音は、この歴史的名作の巨大な記念碑のような存在感を見事に描き出した決定的な演奏の一つといえるだろう。第1楽章に対する彼の慎重なアプローチは、シカゴ交響楽団のパワーと正確さを存分に発揮させ、スケルツォの第2楽章では弦楽器と打楽器がスリリングかつ痛烈にリスナーを刺激する。 第3楽章「Adagio molto」でのショルティは、この楽章の叙情性をまるで終わってしまうことを拒むかのようにじっくりと描き出し、金管楽器が彩るクライマックスには深い感動をもたらしている。合唱を伴う終楽章では、ソプラノのジェシー・ノーマンが彼女を含めて4人の独唱者たちを堂々とリードし、シカゴ交響合唱団による見事な合唱は、ショルティの指揮が熱狂的な結末に向かって進んでいく中で興奮の頂点に達する。
作曲者
指揮者
オーケストラ
コーラス、合唱団
バス