スイスの名チェロ奏者トマス・デメンガは、50年以上にもわたってバッハの歴史的名作、無伴奏チェロ組曲を演奏してきた。その中で作品に対する解釈が著しく変化してきたという彼が、本作のレコーディングで使用したのは、本物のガット弦だ。第一番のプレリュードを聴けば分かる通り、この弦はアーシーでしなやかな響きを生み出し、デメンガは、シンプルな楽曲の中に秘められた底知れない奥深さを存分に引き出すことに成功している。またサラバンドの瞑想的な演奏は、リスナーの心に深く入り込み大いなる癒しをもたらしてくれるだろう。
作曲者
チェロ