ノルウェー出身のLise Davidsenは、ソプラノ歌手としてリリックとドラマティックの両面をもち合わせるところに最大の魅力がある。その張りのある力強く且つ繊細で美しい歌声は、32歳という史上最年少で、R.シュトラウスが死去前最後に書き留めた管弦楽伴奏による歌曲集「Vier letzte Lieder」のレコーディングを実現させた。作曲者が最晩年に創作した作品の、穏やかで覚悟を持てたかのような雰囲気を的確に表現したDavidsenのパフォーマンスは見事。また、緑あふれる庭に佇む"September"では、彼女の歌声が力強く咲いている。そのほかのシュトラウス作品も出色で、"Morgen!"での輝かしさは特に印象的。また、本作に含まれる楽劇からのアリア3曲は、Lise Davidsenの歌手としての力量を余すことなく伝えている。エサ=ペッカ・サロネンが指揮するフィルハーモニア管弦楽団は、「Vier letzte Lieder」が1950年に初演された際のオーケストラであり、彼女のキャリアに花を添えている。