カイヤ・サーリアホは現代音楽の世界で傑出した才能を輝かせるフィンランドの作曲家。彼女はこのアルバムに収録された3つの管弦楽曲で、色彩感覚にあふれた独特の響きを生み出す精巧な作曲技術を発揮している。「True Fire」は名バリトン歌手ジェラルド・フィンリーのために書かれたもので、6つの楽章の一つ一つが深いメッセージを持つ組曲。第2楽章の"River"では重層的なオーケストレーションによって渦巻く川が表現され、第4楽章アメリカ先住民の歌をベースにした"Lullaby"では音楽的ユーモアの中で自然にまつわる鋭い警告が発せられる。これらのメッセージを一つの物語として紡ぎあげていくフィンリーの表現力も見事である。"Ciel d’hiver"は複雑かつ繊細なオーケストレーションによって幻想的な冬の星空を描き出す作品。星々の光がやがて姿を消し、凍てつく朝が訪れる様子をイメージさせる。アルバムの最後を飾るのはハープ協奏曲の「Trans」。ハープとオーケストラによる魔法の対話が互いの旋律を支え合い、夢幻の世界へとリスナーをいざなう。
作曲者
バリトン
オーケストラ
指揮者
ハープ