英国出身の現役作曲家Anna Clyneによるチェロとオーケストラのためのパワフルな作品『DANCE』と近代英国の大作曲家エルガーによる内省的な作品『Cello Concerto』の組み合わせは、この2つの楽曲がちょうど1世紀を隔てて書かれたものだという関係性を差し引いても、絶妙なものとなった。どちらのコンチェルトにも共通するのは、極めて美しく、印象的なメロディを有し、表現がシンプルで潔いということ。Clyneの協奏曲の5つの楽章は全て13世紀ペルシャの詩人ルーミーの詩にインスパイアされたものだ。それぞれの楽章が、痛みを抱えている時にも、苦悩する時にも、戦いのさなかにあっても、自由な時にも、踊りなさいとリスナーに訴えかけてくる。チェリストのInbal Segevは情熱がほとばしるような演奏でそれらの生々しい感情を見事に表現している。彼女はエルガーのコンチェルトにおいても同じように印象的なパフォーマンスを披露する。そして、第1次世界大戦によって世界が激変してしまった1919年に初演されたエルガーの『Cello Concerto』と同じように、今度はClyneの『DANCE』の音源が、社会が大きく変革するタイミングでリリースされたのも何かの巡り合わせなのかもしれない。
作曲者
指揮者
オーケストラ
チェロ