音楽祭のプログラムでは、ワクワクするような一度きりの共演が実現することがよくあり、なかでも、スイスで行われているヴェルビエ音楽祭における演奏家のマッチングは傑出しているといえるだろう。この2008年のステージでは、2020年4月に逝去した重鎮チェロ奏者リン・ハレルと、43歳年下の熱情みなぎるピアニスト、ユジャ・ワンが共演。期待どおりの火花を飛び散らすような、魂のこもった熱演を繰り広げた。ラフマニノフ最高の室内楽作品にして唯一のチェロソナタに、彼らは人間同士としての対等な語り合いといった精神でアプローチし、どちらの演奏家もこのソナタの雄大で自由な雰囲気と見事に調和した演奏を聴かせる。まさに音楽祭ならではの醍醐味だ。
作曲者
ピアノ
チェロ