英国の声楽アンサンブル、タリス・スコラーズと指揮者のピーター・フィリップスは1986年以来、ルネサンス期最高峰の作曲家ジョスカン・デ・プレのミサ曲全曲録音という壮大なプロジェクトに取り組んできた。そして第9巻となる本作で、彼らはついにその偉業を成し遂げたのだ。フェラーラ公爵エルコレ1世・デステのために書かれた『Missa Hercules Dux Ferrariae』は高度な作曲技術に裏打ちされた驚異的な複雑さを誇る作品だが、同時にリスナーの心を揺さぶる純粋な情感にあふれている。タリス・スコラーズが生み出すピュアな響き、完璧なまでに統一されたメンバーの表現方法、そして非常に表情豊かな合唱は実に壮麗。シンプルではあるが同様の説得力を備えた『Missa D’ung aultre amer』と『Missa Faisant regretz』でも見事なパフォーマンスを披露している。これらの魅力を余すところなく伝えてくれる録音も素晴らしい、宝物のようなアルバム。
作曲者
合唱団、古楽声楽アンサンブル
コーラスディレクター、指揮者