地球は自己調節が可能な、呼吸する生命体だと、1970年代に環境保護主義者のジェームズ・ラブロックは提唱した。これがガイア理論である。作曲家のHenning Fuchsは、本作で地球の誕生と進化をサウンドで表現しながら、地球を破壊していく人間を嘆き、最後は私たちが失うものを音楽で予感させる。時間の始まりを描く「Gaia Rises」の鮮やかなサウンドスケープでアルバムは幕を開け、息をのむほど美しく物悲しい「Time Drops」「Protozoa」へと展開する。西洋と東洋の楽器の融合によって描く、映像的ともいえるその音楽は、リスナーを地球の物語へと引き込んでいく。「Thrive」で人類が地球に出現し、祈りのような旋律の「Miracle of Life」、印象的なフレーズが儀式的に繰り返される「The Tribe」へと続くドラマ性も魅力だ。「Home」で感じられる穏やかさに安堵していると、その後突如雷鳴が低くとどろき、暗転していく世界に警告を発している。
作曲者
ピアノ、ギター