21世紀の作曲家の多くは現代的な調べを前面に打ち出す一方で、メキシコ出身の作曲家Rodrigo Ruizは19世紀の偉大な先達に大きな影響を受けている。Ruizの音楽はまるでブラームスやドヴォルザーク、ベートーヴェンの作品を想起させるかのような、非の打ち所がないほど精妙に構築されているのだ。『Sonata for Violin and Piano』はバイオリニストKerenza Peacockによる委嘱作品で、Peacockのバイオリンと、彼女と同じ英国出身の演奏家であるハウ・ワトキンスのピアノによって奏でられている。この楽曲に満ちあふれるエネルギーと情感は、その2人に傑出したチェリストのLaura van der Heijdenを加えて奏でられる『Trio for Violin, Cello and Piano』にも共通している。バイオリンとピアノの二重奏による「A Riveder le Stelle」はイタリアの偉大な詩人ダンテにインスパイアされた作品で、繊細さと力強さを兼ね備え、苦悩と葛藤の果てにかすかな希望を見出す物語性を含んでいる。バイオリンという楽器が持つ表現力やさまざまなテクニックを最大限に生かした筆致も見事だ。Rodrigo Ruizの驚くべき作曲能力が存分に発揮された魅惑的なアルバム。