アフリカ系アメリカ人として初めてピューリッツァー賞の音楽部門を受賞した作曲家George Walkerは、2015年の6月にサウスカロライナ州チャールストンのエマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会で起きた9人の信者の虐殺に深く心を痛めた。『Sinfonia No. 5 “Visions”』はその事件へのWalkerの思いを表したものであり、オーケストラと語りのための力強い作品となっている。このEPで聴けるのは、残念ながら作曲家が亡くなった後に行われたシアトルでの公開初演の録音。デンマークの指揮者トーマス・ダースガードと彼が率いる名門オーケストラ、シアトル交響楽団は、この楽曲が内包する精神的な打撃、怒り、痛みを確かな技術で伝えながら、有名な旋律を巧みに織り込んだ印象的なサウンドコラージュを見事に表現している。荘厳さと臨場感のみならず、演奏の機微をもとらえたレコーディングも素晴らしい。
作曲者
オーケストラ
指揮者
アーティスト
ボーカル