19世紀の偉大な音楽家フランツ・リストは、史上最も優れたピアニストの一人と考えられている。その多くはチャレンジングで、革新的な驚嘆すべき彼のピアノ曲に基づくものだ。一方でリストは、およそ90曲にも及ぶ息をのむほど美しい歌曲を残しているのだが、そのほとんどは比較的知られていない。テノールのヨナス・カウフマンとピアニストのヘルムート・ドイチュはこのアルバムで、それらの知られざる奇跡のような名曲にふさわしい光を当てるべく、思いのこもった見事な演奏を披露している。チャーミングで豊かなメロディを持つ『3 Sonetti del Petrarca』(『ペトラルカの3つのソネット』)からワーグナー風の繊細なハーモニーに彩られた「Die Loreley」(「ローレライ」)まで、本作に収録された数々の歌曲は、声楽の分野においてもリストが非常に優れた作曲家であったことを証明している。きらびやかな「Ihr Glocken von Marling」(「マルリングの鐘よ」)は印象派の気配すら感じさせるもので、疑うべくもなくリストが時代の最先端を行く作曲家だったことを物語っている。