Song

ボイス、クラリネット、ハープ、コントラバスという編成によるThe Hermes Experimentが織りなすユニークなサウンドは、一度聴いたら忘れられない。しかも、才能と想像力あふれる4人のミュージシャンの手にかかれば、声楽曲も器楽によって思いもよらない素晴らしい世界に描き上げてしまう。このアルバムは、彼らのための特別な委嘱作品や、個性的で想定外なアレンジによって再構築された楽曲を収めた魅力ある作品集だ。17世紀の作曲家Barbara Strozziによる「Tradimento!」は現代的な色彩を強く感じさせ、20世紀フランスの作曲家リリ・ブーランジェの「Reflets」や「Attente」では、このアンサンブルの霊妙な楽器編成が見事に調和する。彼らの情熱がほとばしるフルーツを題材にしたKerry Andrewの組曲や、語りと歌が巧みに融合するイギリスの作曲家Philip Venablesによる「A Photograph」など、委嘱作品もひときわ輝きを放っている。