科学と芸術が引き裂かれてしまう前、ヨーロッパの大学では音楽と数学が何世紀にもわたって一緒に教えられていた。指揮者のOliver Zeffmanは、彼のMusic x Museumsシリーズの一環であるこのライブアルバムで、音楽と数学がどのように交わっているかを表現している。ロンドンのサイエンス・ミュージアムで披露されたこのプログラムは、作曲家たちが、音楽が持つ時間という本質をどのように使っているのか、その多様な方法を掘り下げるものだ。これらの曲は、まるで、同ミュージアムの『Stephen Hawking at Work』(故スティーヴン・ホーキング博士にまつわる展覧会)の展示物の一部と化した、Ozero Ensembleの演奏家たちによって奏でられた。
ショーの幕開けを飾るのは、George Benjaminのアレンジによってきらびやかな色をまとったバッハだ。バッハの複雑な対位法は、音楽における多変数の微積分ともいえるもの。Benjaminは『The Art of Fugue(フーガの技法)』のカノンとフーガを9人の演奏者のために編曲し、より複雑で変化に富んだものにしている。Harrison Birtwistleによる『Tragoedia』(1965年)は、古代ギリシア演劇の世界に根差した作品で、時として暴力的なまでの質感のコントラストを伴っている。Zeffmanはこの曲に関して「場所によってはとてもアグレッシブです」と言う。「そして中盤には内省的な瞬間もあります。記念碑的かつ儀式的な作品です」
このコンサートでは、William Marseyの手による非常に親しみやすく、かつ瞑想的な作品「Why Do You Grieve」が世界初演された。これは、抽出したり、操作したりして、複数の組み合わせに再構成することができる“プログラム可能”なエレメントから成る作品だ。「Willは親しい友人なのですが、これまで何かを一緒に作る機会はありませんでした。彼は時間の概念を扱う作品を書くというアイデアに興奮していました」とOliver Zeffmanは振り返る。「そしてテリー・ライリーが1964年に書いた『In C』は、ミニマリストによる最初の曲ともいわれるもので、53のフレーズをミュージシャンが好きなだけ異なるタイミングでリピートすることで時間と戯れるという作品です」
G. ベンジャミン:Canon and Fugue from Bach's "The Art of Fugue"