リュートは17世紀から18世紀初頭にかけて、フランスの家庭や王宮で大きな存在感を持っていた。この複雑で理解しづらい弦楽器のために、表現力に富んだ心地よい音楽を創作したのが、シャルル・ムートン、エヌモン・ゴーティエ、ジャック・ガロ、ロベール・ド・ヴィゼーといった作曲家たちである。ヨーロッパ中に広まった彼らの作品の多くは、不規則に分割して積み重ねた和音と曖昧な旋律線を特徴とする“ブリゼ様式”、あるいは“砕かれた様式”と呼ばれ人気を博した。規則正しい拍子に縛られることなく、どの曲にも魅惑的な自由とありのままの情感が描かれており、David Bergmüllerによる美しく精巧な演奏は、それらを的確に捉えて表現する。録音された音は非常にクリアであり、クローズアップできるような音像が、きわめて私的な音楽制作といった雰囲気をかもし出している。
リュート
作曲者