

ミネソタ生まれの作曲家Elizabeth Ogonekは、管弦楽作品「Sleep & Unremembrance」(2016年作曲)において、家族のルーツの地であるポーランドの伝統に立ち帰り、同国の詩人でノーベル文学賞の受賞者でもあるWisława Szymborska (1923〜2012年)の詩集に題材を求めた。この楽曲は、Szymborskaが終わりを迎えようとしている命について書いた詩に基づいている。この詩は、Szymborskaの最後から2番目の作品であり、悲しみと、人生を形成してきたすべてのものへの祝福という、一見矛盾する二つの要素を含んだものだ。Ogonekによるオーケストラのためのおよそ12分の叙事詩は、時に強力なエネルギーを放つかと思えば、きらめくようなサウンドが神秘的で穏やかな雰囲気を醸し出す。指揮者のエサ=ペッカ・サロネンにとってOgonekは「新世代の中で最も重要な作曲家の一人」だという。「私は何年か前からOgonekの作品を聴いてきました。彼女はとても個性的で、表現力豊かで、他にはない何かを持っていると思います。彼女のスタイルを一言で表すのは難しいことです。意外性もあるし、期待に応えてくれることもあります。美しくて、でも、難題を課してくることもあります。つまり、そこには音楽で表現できることのすべてがあるのです」サロネンとサンフランシスコ交響楽団によるこの「Sleep & Unremembrance」の初録音は、21世紀の真のクラシック音楽であるこの楽曲が持つ華麗さと痛切さのいずれをも見事に描き出している。
2023年7月7日 1トラック、11分 ℗ 2023 San Francisco Symphony