映画監督のリドリー・スコットは2023年の映画『ナポレオン』で、ナポレオン・ボナパルトの生涯を、政治的、軍事的な戦いと、恋人であり妻であり皇后となったジョゼフィーヌへの強い思いとを結び付けながら描いている。 Martin Phippsによるフィルムスコアは、この映画においてナポレオンの複雑なキャラクターを際立たせるのに大きな役割を果たした。ナポレオンの素朴なコルシカ人としての一面を象徴する民謡風のメロディを、サウンドトラック全体で繰り返し使っていることが優れた効果をもたらしている。このメロディはまず、ナポレオンが一時期所有していたフォルテピアノで奏でられ、その後、トランペット、コルシカの歌手、アコーディオン、古い撥弦(はつげん)楽器によって演奏される。 またPhippsは、荒削りな性格の英雄というテーマを貫くべく、Ensemble Organumと共に「Austerlitz Kyrie」と「Downfall」に、恐ろしいほど粗野な雰囲気を加味している。そして、最後の「Bonaparte’s Lament」では、コルシカの歌手たちの歌が、打ちのめされたナポレオンをふるさとの島へと連れ戻す。そして「First Counsel」にはベートーヴェンへの言及もある。これは、短い期間ではあったが、ベートーヴェンがナポレオンに敬意を抱いていたことを表すものだ。
作曲者
アーティスト
合唱団