時間と空間への知覚を問うような、変幻自在な作品を集めたトゥエルヴ・アンサンブルによる想像力を刺激するアルバムだ。その核心となるのは、リヒャルト・シュトラウスの「メタモルフォーゼ TrV 290」。シュトラウスは自身の輝かしい生涯が晩年へと向かう1945年に、戦争で荒廃したミュンヘンへの追悼も兼ねてこの作品を完成させた。シュトラウスのロマン主義への懐古を感じさせるが、奏者たちは透明感あふれるパフォーマンスで示すように、数え切れないほど細部に至るまで探究し、新たな発見を楽しんでいる。
アルバムは、エドモンド・フィニスが作曲したウィリアム・バードへの断片的なオマージュで始まる。この曲にはチューダー朝当時の音楽を現代に置き換えた雰囲気があり、ヴォーン・ウィリアムズの「トマス・タリスの主題による幻想曲」を思い起こさせる。続くクロード・ヴィヴィエの「ジパング」は、調性を織り交ぜながら主題が分裂したり変形したりする、16分間を通して旋律と他のさまざまな要素を探究していく作品。また、オリバー・リースのアリア風作品「Non Voglio, Mai Vedere Il Sole Tramontare」は、カート・コバーンの最期の日々を描いた2022年のオペラのプロットとして作曲されたものだ。明らかに現代的でありながら、19世紀のグランド・オペラのかすかな響きが感じられるなど、まさに変容(メタモルフォーゼ)の真っ只中にいるかの感覚が味わえる。