この喜びにあふれた2台と3台のピアノのための協奏曲のアルバムでは、アメリカ人指揮者ケント・ナガノの妻と娘、妻の妹がソリストを務めるという家族総出演による演奏が実現した。 3人のピアニストが演奏するモーツァルトの『3台のピアノのためのピアノ協奏曲 ヘ長調 K.242』は、どこまでも愛らしく、特に終楽章の晴れやかで途切れることなく一体感ある演奏が素晴らしい。また、『2台のピアノのための協奏曲第10番 変ホ長調 K.365』は、作曲家モーツァルト自身が姉のナンネルと一緒に演奏した作品で、児玉麻里と桃の姉妹による協演が聴きどころ。2人は繊細な中間楽章で絶妙に調和し、快活な終楽章での軽妙な掛け合いを楽しんでいる。 プーランクの『2台のピアノのための協奏曲 ニ短調 FP61』が収録されているのは大きな特典で、ここで児玉姉妹はケント・ナガノの独特な雰囲気をもった指揮の下、スイス・ロマンド管弦楽団による鋭く痛快なアンサンブルによって輝きを得ている。第1楽章のコーダは魔法がかった詩情にあふれ、終楽章ははちきれんばかりのリズムと色彩が炸裂する。
作曲者
ピアノ
オーケストラ