ビブラフォンのきらめき、楽団員たちが唇を使って音を出して繊細に表現する雨音、ピアノやハープの幽玄の響き。日本の作曲家、小出稚子の作品『揺籠と糸引き雨』は、冒頭から魅惑的な表現にあふれている。「タイトルも本当に詩的。私がこの作品に魅了されたのは、イマジネーションを豊かに広げてくれるからです」と指揮者のダリア・スタセフスカはApple Music Classicalに語る。
「この曲には、これまでに見たことも聴いたこともないようなテクニックが使われていて、それらもとても魅力的なのです。演奏者たちは水滴の音をまねするだけでなく、ヴァイオリンの弦の間に鉛筆を挟んで、何かをたたいたような音を出したりもします」
またスタセフスカは、作品全体を通じて、そして、雨が収まる最後の小節においても、作曲家が静寂を見事に利用していると指摘する。音のないそれらの瞬間も、この作品の魅力的な音世界の一部なのだ。「小出さんにとって静寂は音楽です」と彼女は言う。「一つ一つの静寂が音楽的な瞬間になっている。とても瞑想的な作品です」