チェコ共和国出身の作曲家による素晴らしい歌曲の数々を収録するアルバム。1876年から1943年にかけてのロマン主義最盛期から、不安げなほとんど幻惑的な表現主義の音楽まで、多くの歌が聴ける。ライブ録音から、メゾソプラノのマグダレナ・コジェナーが非常に明瞭な発声法と情緒的な深みを兼ね備えた点や、サイモン・ラトル率いるチェコ・フィルハーモニー管弦楽団が、この美しく、時に繊細な楽譜の細部に至るまで生命を吹き込むなど迫真の演奏が伝わってくるのも魅力だ。 ボフスラフ・マルティヌーのかぐわしい世界からアルバムは始まる。マルティヌーは、ドビュッシーやラヴェルに敬意を表しつつ、1912年の歌曲集『ニッポナリ H.68』のために日本の短い詩を選んだ。モーダルハーモニーを木管楽器やハープと一緒に使うことで、日本の伝統音楽だけでなく、20世紀のヨーロッパの聴衆が当時、異国情緒にあふれ謎に包まれているとさえ考えたであろう日本そのものの印象を描いている。 『2ページの歌曲集 H.294』は、紙の片面に印刷されるような最も短い作品で、マルティヌーが第2次世界大戦中、アメリカに亡命していた時期の作品。モラヴィアの詩を使った各曲は、故郷への絵葉書のような趣がある。「Otevření slovečkem」には舌鋒(ぜっぽう)鋭いウイットをちりばめ、「Cesta k mile」は情熱的で、そして「Chodníček」では純粋な喜びを表現するなど、さまざまな感情を包含している。 マルティヌーの次はドヴォルザークの豊かで艶やかなロマン主義へと続く。民謡に触発された、時に激しく美しい『夕べの歌 B61』と『6つの歌 B123』は郷愁に満ちあふれ、ドヴォルザークの最後の三つの交響曲に見られるような管弦楽の語法の多くを共有している。 この多岐にわたるアルバムで、残る2人の作曲家は、どちらもテレジン強制収容所に収監されており、そこでは、芸術がナチスによって外部世界を欺くためのプロパガンダとして利用されていた。1942年にテレジンに強制送還されたハンス・クラーサは、1920年に『Four Orchestral Songs』を作曲した。その角ばった音楽からは、天空のような美しさと深い悲しみ、苦闘さえも感じさせる。そして、ギデオン・クラインは1943年、テレジンで簡潔で感動的な素晴らしい作品「Lullaby」を作曲。クラインはわずか2年後、アウシュビッツで死ぬことになる。
作曲者
オーケストラ