パガニーニの協奏曲で驚くべきテクニックを披露し、中国の作曲家によるコンチェルトで豊かな歌心を発揮する。2007年にシンガポールで生まれたChloe Chuaは、2018年に11歳で出場したユーディ・メニューイン国際コンクールのジュニア部門で優勝を果たし、一躍大きな注目を集めた新星ヴァイオリニストだ。本作の冒頭を飾るのは中国の作曲家、Chen Gangとヘ・チャンハオが共作した『ヴァイオリン協奏曲“The Butterfly Lovers”』(1959年)。中国の有名な民間説話『梁山泊と祝英台』に基づいた作品だ。「何年か前の親戚の集まりで、はとこが演奏したこの曲が深く印象に残りました。そしてこの恋人たちのストーリーが、水墨画や映画、音楽などのさまざまな形で表現され、時代を超えて語り継がれてきたことを知りました」。悲しくも力強い愛の物語を美しく親しみやすい旋律にあふれたコンチェルトとして再表現したこの作品では、Chuaの軽やかでいながら情感あふれる表現がとりわけ輝きを見せている。続く「Sunshine Over Tashkurgan」(1976年)は、Chen Gangによる多彩なメロディとリズムに彩られた作品だ。Tashkurgan(タシュクルガン)は新疆ウイグル自治区にある自治県であり、ここでは「この情熱的な音楽は、絵のような草原と雄大な山々に包まれ、人々の温かさ、寛大さ、もてなしの心にあふれた新疆ウイグル自治区の美しい町へと私をいざないます」と語るChuaの言葉通り、リスナーのイマジネーションを心地よく刺激する演奏が展開されている。パガニーニの『ヴァイオリン協奏曲第1番』(1815年)は、ヴァイオリン演奏の技術的な困難さとベルカント様式で書かれた流麗な旋律で知られる名作だ。「大いに楽しみました。そして、良い音、クリーンな音を出すために何時間も練習したことも十分に報われました」と言うChuaの演奏も、卓越したテクニックと澄んだ音色が際立つものとなっている。
作曲者
ヴァイオリン
指揮者