このアルバムで聴けるのは、2人のフランスの作曲家によるロマン派と印象派の中間に位置する作風を持つ二つの室内楽曲である。いずれも見事な作品でありながら、あまり広く親しまれてはいないという点も共通している。19世紀終盤に活躍したフランスの作曲家の多くは、ワーグナーがヨーロッパ全体に与えた影響から離れ、モーダルハーモニーの探求の成果と18世紀の古典派やバロックの様式の再発見から得たものを組み合わせることを好んだ。その好例の一つが、エルネスト・ショーソンによる魅惑的な作品『ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲 ニ長調 Op. 21』である。これは、バロックのコンチェルトグロッソを模した、コンチェルティーノ(複数のソロ楽器)とリピエーノ(弦楽四重奏)という比較的珍しい編成の楽曲。各楽章に添えられた「Décidé」「Sicilienne」「Grave」「Très aminé」というフランス語のタイトルも、この作品の地理的な起源を明確に示している。 このショーソンのコンチェルトは実にスリリングで革新的な作品だ。第1楽章「Décidé」は、ピアノによって決然と奏でられるわずか3音の動機で幕を開ける。そして、ピアノと独奏ヴァイオリンが恍惚(こうこつ)とした表情で絡み合いながら弦楽四重奏による伴奏の上に舞い上がり、いよいよショーソンはリスナーを熱狂的な音楽の旅へといざなう。 その後は、より軽快でエレガントな第2楽章「Sicilienne」、暗うつでありながら激しさも併せ持つ第3楽章「Grave」が続き、抑圧された感情を開放するかのような第4楽章「Très aminé」は、2人の独奏者にとって、とりわけピアニストにとって、高度な演奏技術の見せどころにもなっている。このアルバムのピアニスト、エリック・ル・サージュは、ショーソンが与えた大きな課題を軽々とこなし、協奏曲のソリストとしての堂々とした存在感を保ちながらも、弦楽器奏者たちを輝かせる絶妙な演奏を聴かせてくれる。 1870年生まれのルイ・ヴィエルヌは、パリのノートルダム寺院でオルガニストを務めたことや、六つのオルガン交響曲をはじめとするパイプオルガンのための重要な作品を書いたことでよく知られている。しかし、彼の室内楽曲が注目を集めるようになったのは1990年代以降のことだ。『ピアノ五重奏曲 ハ短調 Op. 42』は、1917年に第1次世界大戦で戦死した息子のジャックに捧げられたもの。その経緯から想像できる通り、この曲は苦悩と優しさの間を行き来し、最も激しい瞬間には、ロマン派の固定観念から解き放たれて無調の世界を探し求めているかのように感じられる。 本作のパフォーマンスは一貫して見事なものであり、ヴァイオリンの樫本大進を含めたすべての演奏家たちは、ショーソンとヴィエルヌの感情の起伏を敏感に感じ取りながらそれぞれの楽曲を奏でている。
作曲者
ピアノ
ヴァイオリン
弦楽四重奏