バチカンのジュリア聖歌隊の楽長であり、反宗教改革運動を代表するカトリックの作曲家の一人だったジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナは、大変多作であると同時に非常にクオリティが高い楽曲を書いた。ケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊は、1525年生まれのパレストリーナの生誕500年を記念して、パレストリーナの多くの作品の中から5曲の世界初録音を含む、新たな発見に満ちたアルバムを制作した。
指揮者のGraham Rossは若い聖歌隊員たちに対して、空に舞い上がるような対旋律と、彼らが歌うラテン語の歌詞に明確な輪郭と命の息吹を与えることを奨励したという。また彼らは、これらの楽曲に畏敬の念にあふれた趣をもたらしていて、特にそれはミサ曲『Memor esto verbi tui』とその基となったモテットの魅惑的なパフォーマンスにおいて顕著である。プログラムは、パレストリーナと、彼と同じ時代を生きたイギリスの作曲家の作品を織り交ぜたものとなっていて、ヨーロッパにおける聖楽の二つの異なる流れを対比している。