ストラヴィンスキーによるバレエ『春の祭典』の作曲者自身が編曲したピアノ連弾版は、より広く知られているオーケストラ版が持つ爆発的なエネルギーを、凝縮された激情とともに力強く表現したものだ。ピアニストのパヴェル・コレスニコフとサムソン・ツォイは、本作を録音するまでにこの連弾版を数多く演奏してきた。第2曲「Augurs of Spring」の冒頭部分において2人が生み出す前進力あふれるリズムの鋭さと統一感、あるいは第1部の最後を飾る第8曲「Dance of the Earth」で生み出される地響きのようなサウンドと激しい勢いは、その経験のたまものだ。しかし、ツォイとコレスニコフのデュオの魅力は、圧倒的な迫力だけではない。そのことは、第2部の「Introduction」(第9曲)における繊細なテクスチャーを聴けば分かるだろう。
その繊細さは、カップリング曲であるラヴェルの『マ・メール・ロワ』における絶妙にバランスが取れた演奏の中でさらに際立っている。特に同組曲の終曲である「Le Jardin féerique」でのツォイとコレスニコフは、お互いの演奏に高いレベルで調和しながら、魅惑的で詩的な表現を披露している。