1995年に初めてピエトロ・アントニオ・ロカテッリの作品によるアルバムをリリースしてから30年を経て、ヴァイオリニストで指揮者のファビオ・ビオンディと彼が率いるバロックオーケストラ、エウローパ・ガランテは、同作曲家の楽曲に一層魅惑的な解釈をもたらした。後期バロックの名ヴァイオリニストで作曲家のロカテッリは、1695年にイタリアのベルガモで生まれ、アルカンジェロ・コレッリの下で学び、1729年から1764年に亡くなるまでアムステルダムで活躍した。このアルバムのメインであるロカテッリによる一連の『劇場風序曲』は、あまり録音の機会に恵まれない作品だ。しかし、ファビオ・ビオンディによる詩情にあふれた表情豊かな演奏は、コンチェルトグロッソとオペラの中の器楽曲であるシンフォニアの間に位置するようなこれらの楽曲に、新たな光を当てている。また、アルバムの最後を締めくくる『Violin Concerto in A Major』の繊細で輝きに満ちた演奏も、本作にもう一つの魅力を加えている。