『Temporary Coexistence of Humans』は、スウェーデンの作曲家ピーター・サンドバーグの8作目のアルバムだ。サンドバーグは本作で、人間同士がいかにはかなく、予測不可能な形で関わり合っているかということに焦点を当てている。冒頭を飾る「Temporary Coexistence」では、ソロピアノにアンビエントな残響が柔らかく寄り添うさまがアルバム全体のサウンドを象徴する。そのシンプルでいながら胸に迫る旋律は、静かな池に小石を落としたときのように同心円状の波紋を広げていく。左手によって奏でられるくぐもった響きに下支えされた「Convergence」は、どこか落ち着かない雰囲気を漂わせる。そこにある物憂げな気配は、続く「Bleeding Out」でより深く掘り下げられる。その一方では、愛らしい「Mr. Hindsight」や軽やかに歩くような「Molly」をはじめ、チャーミングな性格的小品もある。巻き上がるような装飾音がメロディを彩る「Sommarnatt」では、サンドバーグの演奏が民謡を思わせるような表情を見せる。対照的にアルバムを締めくくる「Momentary」は霧のような音のベールに包まれていて、外の世界が遠のき、個が再び私的なイマジネーションの深い領域へと沈み込んでいくような感覚をもたらす。
作曲者
ピアノ