Our Common Nature - EP

本来、音楽と自然は密接なつながりを持っているはずだ。であるならば音楽は、ともすると自然を自分たちとは切り離された存在として捉えてしまう私たちに、人間が紛れもなく自然の一部であることを思い出させる力を持っているに違いない。音楽が持つ社会的な使命を意識しながら多彩な活動を展開する名チェリスト、ヨーヨー・マは、2020年に起こったパンデミックのさなかに“音楽が人と自然を再びつなぐ方法”について、思いを巡らすようになったという。そして彼は、自然と深く結びついた人々や文化を訪ねる旅に出た。本作に収録されているのは、その旅でヨーヨー・マが見聞きしたことを音楽と共に伝えるポッドキャスト番組『Our Common Nature』のために録音された音楽だ。 アイスランドの作曲家、ヴィクトル・オリ・アルナソンの「Earth Hymn」は、氷河をはじめとする絶景で知られるスナイフェルスネス半島で録音された。この曲ではアイスランドの歌手たちが、ヨーヨー・マのチェロに乗せて古いアイスランドの詩から引用された歌詞を歌う。これはまさに溶け行く氷河からのメッセージである。Eric Mingusの「The Mill（Grinds My Bones）」では、チェロとボーカルのデュエットが、グレートスモーキー山脈に伝わる家族の物語を伝える。そして、ヨーヨー・マはJennifer Kreisbergと共に「naká·yè·ʔr sihskę̀·nęʔ」（“あなたに平和が訪れますように”の意味）を奏で、自然と調和した未来の暮らしに思いをはせる。