クレア・フアンチのアルバム『Piano Heroines』に作品が収録されている4人の女性の作曲家たちは、いずれも当時の社会規範や、“クラシック音楽の作曲は男性の領域である”という固定観念によって、活動が著しく制限されていた。しかし、彼女たちが生み出した音楽は、そうした偏狭な考えを見事に打ち破るものだった。 アルバムの冒頭を飾るのは、フェリックス・メンデルスゾーンの姉であるファニー・メンデルスゾーンによる5つの楽曲。『Capriccio in B Minor』でのフアンチは、ファニーが書いた軽やかかつ繊細な筆致を心ゆくまで味わいながら奏で、組曲『一年 - 12の性格的小品』から本作に収録されている4つの楽章の一つである「June」には、物憂げな趣と詩情をもたらしている。アメリカの作曲家エイミー・ビーチによるころころと表情を変える作品『ファンタジア・フガータ』や、『4つのスケッチ』のあちこち駆け回るような第4曲「Fire-Flies」では、音の質感を精緻に描き分けるホアンチの演奏が際立つ。クララ・シューマンがロベルト・シューマンと結婚する前、つまりクララ・ヴィークだった頃に書いた『ピアノ協奏曲 イ短調』の第2楽章「Romanze」にはチェリストのTristan Cornutが加わり、フアンチと共に心のこもった演奏を聴かせる。そして、フローレンス・プライスの作品「Cotton Dance」の生き生きとした演奏が、この魅力的かつ示唆に富んだリサイタルを締めくくる。
作曲者
ピアノ
チェロ